國井 良昌=國井技術士設計事務所 所長
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國井 良昌=國井技術士設計事務所 所長
 次のような質問が私の事務所に寄せられました。

【質問6】
 隣国の巨大企業における開発人員は、プロ野球やプロサッカーの選手と同様に人選(指名)されると、國井先生からお聞きしました。また、会議やセミナーの座席で部屋の後方の席に座ると業務で指名されないとも聞きました。それは、なぜでしょうか?

 この質問に対する私の回答はこうです。

【回答6】
 一般に、やる気のある学生は前方の席に座り、やる気のない学生は教室の後方の両端の席を好みます。これは学生の場合ですが、そのまま日本企業の技術者にも当てはまります。残念ですね。人選しなければならない立場の部長であれば、やる気のなさを分かっていて、わざわざ部屋の後方の両端に座る技術者を指名したくないと思いませんか?

2-6-2の法則

 勝つことが使命の社会人スポーツの監督が、集まってきたたくさんの優秀な選手の中からレギュラーを決める。このとき、優秀な上にやる気満々の選手を指名したいと思うのは当然です。この監督を企業の部長に置き変えれば、納得できるのではないでしょうか。

 「2-6-2の法則」と呼ばれるものがあります。一般にも結構知られていますが、特に教育界では有名な法則です。これを企業に置き変えた図1を見てみましょう。企業や営業、技術者などの集団には、組織を牽引する2割の優秀層、可もなく不可もない6割の中間層、そして、いつの時代にも注目されない下位層の2割で構成されている、と主張するのがこの法則です。

図1●2-6-2の法則
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図1●2-6-2の法則

 ここで、分かりやすくコンビニエンスストアの商品に置き変えてみましょう。まず2割のよく売れる商品は、棚の中で大人の目線の高さに置かれています。例えば、おにぎりやサンドイッチ、巻きずしといった商品です。続く6割の商品は、棚の中段に置かれています。中段といっても大人の目線の高さよりも下です。例えば、乾電池や絆創膏、各種文房具やストッキングといった商品が該当します。そして、残る2割があまり売れない商品。これらは棚の中で床に近い位置に置かれています。例えば、荷造り紐やガムテープ、タオルなど。あまり数が出ないのですから取り扱わなければよいと思いますが、それでは「コンビニ」の名が廃ります。