周りの人物は「強い」かどうか

 潜在力がある起業家とそうでない起業家で、意思決定に関するプロセスも異なる。自信のない起業家は、何事も常に「支配」していないと不安を抱く。例えば、自分の命令に忠実な従業員だけを望み、意見する従業員は好まない。ビジネス経験が豊富な投資家や顧問も避けたがる。

 これに対して、優秀な起業家は、従業員が自信を持って行動することを好むし、外部の投資家や顧問の意見にきちんと耳を貸す。そのため、創業者の周りにいる主要人物を見るのも、成長を期待できるベンチャーかどうかを判断する材料になる。

従業員や投資家と企業を共有

 優秀な起業家は株式を通じて外部の投資家と、ストックオプションを通じて従業員と企業を共有したいと考えている。多様性と金銭的なインセンティブがベンチャーの成功の近道だと知っているからだ。様々な立場の人々に、金銭的なインセンティブを与えることで、多様な専門知識と意見を集約できる。それらが、正しい意思決定を役立つと、優秀な起業家は知っている。

 それとは対照的に、創業者とその家族、友人が大半の資金を提供し、株式を所有している場合は、ベンチャー企業ではなく、家族経営の個人商店のようなものである。
 大きな成功を望むベンチャーは、5〜10年以内に大企業に買収されるか、あるいはIPO(上場)することを目指している。そのため、ごく限られた株主が、ベンチャーの運営にかかわることを望まない。特に、出資者が友人や家族だけだと、事業が創業者の個人的な「遊び場」に転じてしまう恐れがある。だからこそ、外部の投資家がいるかどうかが重要になる。

 以上が、急成長する見込みがある、将来性が高いベンチャーを選ぶ基準である。だから、ベンチャーの入社面接では、創業者、あるいは面接官に積極的に質問するといい。例えば、「創業者は以前、何をしていたか」「なぜ、今の事業に取り組むのか」「投資家には誰がいて、なぜ投資を決めたのか」「取締役は誰か」「製品発売の時期はいつか」「開発のマイルストーンは何か」「IPO、あるいは買収されることを目的にしているのか」、といった具合だ。大きく成長したいと考えているベンチャー企業ならば、こうした質問にきちんと答えてくれるだろう。なぜなら、将来の新入社員となるあなたと、ビジョンを共有し、共に前進したいと考えているからである。