真のベンチャーとは?

 ベンチャーで働くと聞くと、大手企業、特に日本の大手企業に勤める人は、給料が安いのではないか、と心配する人もいるだろう。確かに、大手企業ほどの給料や福利厚生は期待できないかもしれないものの、ストックオプションがある。ベンチャーが成功すれば、ストックオプションで給与を遥かに超える報酬を得られる。

 もちろん、どのベンチャーもIPOや大企業による買収などで成功し、ストックオプションで大きな報酬を得られるとは限らない。求人サイトで「ベンチャー」と検索すると、意外と多くの企業がリストアップされてくる。その中から、成功をつかむベンチャーをどのようにして選べばいいのか。

 そもそも、ベンチャーという言葉の定義があいまいである。真のベンチャーとは、高い潜在力を秘めた新しい企業を指す。今は、組織の規模も売上高も小さいが、今後5年間、毎年2倍以上の速いペースで成長する企業こそがベンチャー企業である。

 創業から5年以上経過しても、規模がまだ小さい企業に潜在力があると言い難い。手掛ける製品が対象としている市場の規模が小さいか、あるいは創業者や従業員、企業文化に積極性が欠けていることに、その原因があることが多い。

 そのため、求職活動の際に、創業者に成長の見通しについて尋ねればいい。例えば、「今後何年程度で上場できるのか」「急速な成長の原動力となる新技術や革新的な製品を保有しているのか」「今の事業を10倍、100倍、1000倍に拡大することが可能か」「大企業や他のベンチャーとの競争に勝てるのか」などと尋ねてみたり、自分で調べてみたりすればいい。

 言い換えれば、「スケーラビリティー」がある企業かどうかを調べるわけだ。以前、このコラムで、スケーラビリティーは創業者や投資家に重要な要素だと解説した。ベンチャーに勤める従業員にとっても、考慮すべき点なのである。