趣旨

 ベンチャーの起業やベンチャーとの協業、ベンチャーへの勤務や投資などはリスクが大きいーー。多くの日本人がそう考えがちです。ところがこれは日本特有の考え方と言えます。そんな固定観念を払拭するために 筆を執ったのが、ベンチャーの日米比較を研究テーマにしている、学習院大学経済学部 教授のDimitry Rtischev氏です。同氏は、米国のマサチューセッツ工科大学(MIT)でコンピュータサイエンスと電気工学を学んだ後、シリコンバレーで自らベンチャーを立ち上げ、日本の大手企業とも協業した経験をお持ちです。本連載では、その経験を踏まえて、起業や協業、投資などにおけるリスクを最小化したり、避けたりする手段 を紹介していただきます。

Dimitry Rtischev (ディミトリ・リティシェフ)
学習院大学経済学部経営学科教授
Dimitry Rtischev (ディミトリ・リティシェフ) 1989年にマサチューセッツ工科大学(MIT)電気工学・コンピュータサイエンス学部卒業、同修士課程修了。在学中に米IBM社にてグラフィクスと音声認識アルゴリズムの研究開発にも従事。MIT卒業後にボストンで、日本人向けの英語発音トレーニングソフトウエア事業を始める。1990年にシリコンバレーに移り、研究開発企業で音声認識ソフトウエアの開発とその事業化を担当する。その後、カリフォルニア大学バークレー校大学院に進み、経済学博士号を取得。在学中に東京大学先端科学技術研究センターで情報通信産業について日米比較研究を行う。1999年にシリコンバレーでWeb上の語学教育サービスのベンチャー企業を立ち上げ、約5年間代表取締役社長を務める。2004年に日本に移り、学習院大学に着任。研究領域は個人ならびに企業の戦略的行動、ベンチャー企業論、日米比較制度経済学。著書に「私も起業できる? ベンチャーで働く? アメリカ人との本音トークでわかるシリコンバレー流キャリアと財産の築き方」がある。