自動車王ヘンリー・フォードは、「誰でも乗れる安全で安価な自動車を作りたい」という夢を持っていた。そして試行錯誤の末、1908年に量産大衆車「T型フォード」を世に送り出し、「自動車革命」を起こした。

 それから1世紀を経て、パワートレーンの進歩や電動化などによって、自動車産業は大きな成長を遂げた。いまや自動運転の実用化も視野に入ってきた。そして14年後の2030年に自動車産業は、さらに大きな変化を遂げているだろう。具体的には、以下の三つが挙げられる。

  • 環境問題への対応としてパワートレーンの多様化が進む
  • クルマの知能化・IoT化が進展する
  • 消費者のニーズの変化に伴い、シェアリングサービスが急拡大する

 これらの要素が複雑に絡み合いクルマの新しい価値が創出され、活動領域も拡大する。新たなモビリティー社会が世界中で同時並行的に成立するのである(図1)。その結果、過去1世紀にわたって確立されたシステムが崩壊して新たなエコシステムが生まれ、私たちが経験したことがない「モビリティー革命」が起こる。そして、それは既に起こり始めている。

図 クルマの提供価値と使われ方による将来のモビリティー社会の全体イメージ
図 クルマの提供価値と使われ方による将来のモビリティー社会の全体イメージ
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