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HOMEものづくり産業機器/部材鵜飼育弘のテクテク見聞録 > フレキシブルデバイスの鍵を握る日本発の化学材料

鵜飼育弘のテクテク見聞録

フレキシブルデバイスの鍵を握る日本発の化学材料

ファインテック ジャパン/高機能フィルム展報告

  • 鵜飼 育弘=Ukai Display Device Institute 代表
  • 2017/05/08 05:30
  • 1/5ページ

1. はじめに

 第27回ファインテック ジャパンおよび第8回高機能フィルム展が東京ビックサイトで2017年4月5~7日に開催された。その中から筆者が興味を持った講演を7回にわたって報告する。最終回となる第7回目の今回は、ファインテック ジャパンの「部品・材料ゾーン」に出展していたDICの展示を取り上げる。同社は、放熱性に優れる高熱伝導絶縁接着シート、プリンテッドエレクトロニクス向けの銀(Ag)ナノ粒子を用いためっき膜形成技術、液晶テレビに用いられるTFT液晶や電子デバイス向けの接着剤・コーティング剤などを展示した。この中から、筆者が注目した新技術を紹介する。

 なお、ファインテック ジャパンには部品・材料ゾーンのほか、「LCD(液晶)/OLED(有機EL)ゾーン」「高性能センサゾーン」「製造装置ゾーン」「プリンテッドエレクトロニクスゾーン」「MEMS(微小電気機械システム)ゾーン」が設けられていた。

2. めっき膜形成技術

 DICは金属めっき膜の触媒として用いる銀ナノ粒子と、銀ナノ粒子と基材の層間で優れた密着性を示す高分子密着層材料を開発し、2013年からサンプルワークを進めてきた。このたび、エレクトロニクス関連材料としての採用決定とともに、独自の分散・高分子設計技術を活用することで銀ナノ粒子の量産化が可能となったことから、パイロットプラント設備を整え、2017年1月より生産を開始した。

 同開発品を用いためっき工法は、高密着性を有する高分子層を用いることで、基材表面を粗化(傷つけ)しない平滑な接合面において無電解金属めっき膜を形成できる画期的なプロセスである(図1)。

図1 銀ナノ粒子/超薄膜・高分子密着層
[画像のクリックで拡大表示]

 一般的な無電解めっき工法では、粗化処理した基材表面にパラジウム触媒を付与し、金属膜を生成させる(図1)。高価なパラジウム(Pd)を使用するためコスト負荷が高いことに加えて、回路基板などでは金属膜のエッチング後にパラジウムが残留し、絶縁信頼性を低下させる懸念があることから、再度パラジウムを除去するためエッチングを行っている。

 開発したプロセスでは、高分子密着層を銀ナノ粒子と組み合わせて使用することで、粗化しない平滑な基材表面に密着力が優れためっき膜下地を形成する。同プロセスは、極薄膜な高分子密着層の上に銀ナノ粒子を塗布し、その上に無電解金属めっきを施して金属めっき膜を生成する。 図2に、基材の種類と密着力などの関係を示す。DICの方法では、平滑接合面で密着力に優れた金属めっきが形成できることが分かる。

図2 基材の種類と密着力
[画像のクリックで拡大表示]

 同プロセスにより作製したプリント基板用途では、基材と銅(Cu)めっき膜の界面が平滑なため、高周波信号の伝送ロスの縮小が可能となる。2020年の実用化が目標とされている第5世代移動体通信システム(5G通信)や現状の無線LANより高速に通信できる超高速近距離無線通信、次世代の大容量無線通信システムなど、適用範囲の拡大が期待されている。

 また、同プロセスでは、銀ナノ粒子層が銅めっき膜と同じエッチング液で除去できるため、エッチング工程が一度で済み、工程短縮化や微細回路の形成を実現できる。また、より厚いめっき膜が必要な場合には、電解めっきを施すことで任意の膜厚に調整できる。

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