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HOMEエレクトロニクス電子デバイス鵜飼育弘のテクテク見聞録 > 室温でオール印刷の有機TFT、その実力を探る

鵜飼育弘のテクテク見聞録

室温でオール印刷の有機TFT、その実力を探る

応用物理学会春季学術講演会報告

  • 鵜飼 育弘=Ukai Display Device Institute 代表
  • 2017/04/24 05:00
  • 1/6ページ

1. はじめに

 第64回応用物理学会春季学術講演会がパシフィコ横浜で3月14日~17日に開催された。その中から筆者が興味を持った講演を10回にわたって報告する。8回目の今回は、「プリンテッドエレクトロニクスにおける有機トランジスタの現状の課題」と題したシンポジウムから、物質・材料研究機構(NIMS)の国際ナノアーキテクトニクス研究拠点とコロイダル・インク(C-INK)からの講演内容を解説する。講演の表題は「室温印刷による短チャネル有機トランジスタの形成」である。

1. 室温印刷による短チャネル有機トランジスタの形成

2.1 背景とこれまでの経緯

 簡便な印刷技術によって素子を形成するプリンテッドエレクトロニクスを用いれば、フレキシブル素子を安価で大量に製造できる――。こうした考えから、完全溶液プロセスによる有機トランジスタは早くから報告されてきた。一方、150℃を超えるプロセス温度や印刷による精細度の低さから、いまだに実用化されていない。

 NIMSらは、室温乾燥で導電性を発現するAu(金)ナノ粒子を電極として用いることで、印刷トランジスタのプロセス温度を室温とすることに初めて成功した。さらに、基板表面の濡れ性を利用した選択的な塗布技術によって精細度1μmの印刷を行い、チャネル長1μmの短チャネル印刷トランジスタを実現した。図1に、従来のプリンテッドエレクトロニクスと室温プリンテッドエレクトロニクスの比較を示す。

図1 プリンテッドエレクトロニクスの従来技術と今回の技術
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2.2 電極材料

 これまでのプリンテッドエレクトロニクスに高温プロセスが必要だったのは主に、電極として用いる金属ナノ粒子インクに焼成が必要だったことによる(図2)。従来の金属ナノ粒子には、インクに分散させるための配位子として絶縁性の材料が用いられていた。従って、導電性の金属皮膜を得るにはナノ粒子を焼結させる必要があった。NIMSらは今回、Auナノ粒子の配位子として導電性を持つ芳香族性の分子を用いたことで、塗布後に焼成することなく金属皮膜を形成させることに成功した。形成した薄膜は、抵抗率9×10-6Ωcmを実現している。

図2 Auナノインク
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