「発想の限界を破る」という観点で注目されているのは、アプリの設計インターフェース(API)を公開することにより、受委託なくアプリを作成してもらうというモデルです。このモデルは委託ではないので、そもそも委託費用が不要となります。この場合、アプリの設計インタフェース利用料として、アプリ制作者が得た収益の数十%を請求するという収益モデルとなります。このようなプラットフォームビジネスは、製品がコモディティ化した後の収益方法として注目されています。

 また、これらのアプリやプラットフォームから収集した膨大なデータ(ビッグデータ)を解析し、第三者に提供することによって収益を得るという考え方もあります。例えば、世界中に存在するガラスから送られてくる温度情報を統合する。これにより、ある地点の気温をリアルタイムでモニタリングしたり、ガラスに付与される静止圧と衝撃圧をモニタリングしたりすれば、その地点の風速やその変化の統計データを得ることができそうです。これらのデータが世界中が欲しがる魅力的なものだとしたら、このデータを第三者に提供して、その提供料を収益とすることも可能でしょう。

 このように、「コモディティ化したガラス」を起点として、多くの収益モデルを構成可能であることが分かります。これが、現在IoT(Internet of Things)やビッグデータが主役となっている背景です。つまり、製品がコモディティ化してきているので、IoTやビッグデータという考え方を媒介として収益化しようという流れになっているのです。

 さて、せっかくこのような新しい収益モデルを立ち上げても、第三者がすぐに類似のビジネスを展開するのでは、一向に利益率は向上しないし、新しい収益モデルを立ち上げた際の投資も回収できなくなる恐れがあります。そこで、新しい収益モデルの要所要所で特許を取得し、第三者の参入を阻止する必要があります。それ故に、前回紹介した通り、ビジネスモデル特許の出願件数が増大するのです。