鮫島正洋=内田・鮫島法律事務所 代表パートナー 弁護士・弁理士
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鮫島正洋=内田・鮫島法律事務所 代表パートナー 弁護士・弁理士

 前回は「汎用ガラスに数種類のセンサーが内蔵されたタグを貼り付け、使用状態(温度や応力など)を監視できるというサービスオプション(非技術的付加価値)を付与するという発想」により、B to Bのビジネスにおけるコモディティ化対策の可能性を示しました。

 それでは、このような発想からどのような収益モデルが考えられるのでしょうか。

 まず1つめは、本業であるガラスの売り上げの増加です。コモディティ化しているガラスは価格競争に陥っています。しかし、非技術的付加価値を付与されたガラス、すなわち監視機能付きサービスのオプションを有するガラスは他に例がないとすると、その機能がユーザに訴求して、売り上げやシェアが上がるという収益モデルです。監視機能によって付加価値を付けていることから、ガラス単体としての価格も値引き競争に巻き込まれることなく維持できたとしたら、売り上げやシェアだけではなく、利益率まで向上するかもしれません。

 次に、世界中のさまざまな場所や用途で利用されているガラスの監視アプリケーションソフトウエア(以下、アプリ)の開発です。例えば、ガラスの表面温度やガラスにかかる衝撃力を定常的にモニタリングするアプリを開発すれば、その利用料やアプリ加入者向けの保守メンテナンス料など、製品を販売すること以外の収益を上げられるかもしれません。

 必ずしもアプリを自分で開発する必要はありません。アプリ開発の方向性に関するマーケティングを含めて第三者に開発委託することにより、自分では発想し得なかった内容のアプリを世の中に提供できる可能があります。このように、第三者に委託するということは、自分の発想の限界を破る際に有効な手法となります。