鮫島正洋=内田・鮫島法律事務所 代表パートナー 弁護士・弁理士
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鮫島正洋=内田・鮫島法律事務所 代表パートナー 弁護士・弁理士
 「下請け中小企業に知財戦略を」と言っても、多くの下請け企業はこれまで知財戦略に取り組んだ経験がないことでしょう。それなのに、いきなり「自力」でやれ、と言われても無理な話ではないでしょうか。そこで、「日本再興戦略2015」では、「『自力』での市場開拓への挑戦」に続いて、以下のような文章が記載されています。

──「[ポイントは、『自力』での市場開拓への挑戦である。]
 このため、新市場の開拓や新商品の開発に取り組んだ事業者の成功事例や失敗事例を分析しつつ、事業者の目線に立って経営課題と解決策を分かりやすくまとめ普及を図ることで、成長戦略の『見える化』を推進する。また、飛躍を目指す中堅・中小企業・小規模事業者に対するニーズに応じたきめの細かい経営支援体制を強化するとともに、中小企業・小規模事業者に対する地域金融機関による積極的な経営支援を促進する。」

 「新市場の開拓や新商品の開発に取り組んだ事業者 (中略) の目線に立って経営課題と解決策を分かりやすくまとめ」るとありますが、残念ながら筆者はこの点に関する施策には関与しておりません。しかし、知財戦略以前の問題として、下請け脱却のメカニズムをセオリー化することは多くの下請企業にとって1つの示唆ともなることでしょうから、筆者なりにこれを考えてみたいと思います。