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HOME新産業異業種連携日本の科学とイノベーション、再生への道筋博士しか相手にされない欧米、博士を必要としていない日本

日本の科学とイノベーション、再生への道筋

博士しか相手にされない欧米、博士を必要としていない日本

クロスカップリングでノーベル化学賞の根岸英一氏に聞く(第2回)

  • 山口 栄一=京都大学 大学院 総合生存学館(思修館) 教授
  • 2017/05/19 05:00
  • 4/4ページ

この世にないものをあらしめる研究

根岸 数年前に、デュポン(米国を代表する総合化学会社)の本社に行って本当に驚きました。まず、デラウェア州ウィルミントンのとてつもなく大きな建屋に、ものすごい数の研究員がいるわけです。ざっと1000人近いその人たちが助手ではなく研究員なんです。そのスケール、そしてその研究員がみんな博士号を持っていると聞いたときは、びっくり仰天しました。

 経営方針そのものが、研究を通してビジネスになることを発見し、自分のところで当てるんだ、ということなんですね。デュポンが当てなかったら、他は当てられないかもしれない。

(写真:栗原克己)
[画像のクリックで拡大表示]

山口 私はなぜ日本社会では博士を不要だと思っているのかなとずっと考えてきました。博士って何をするのか。博士は要するに研究をします。では研究とは何かというと、この世の誰も見つけてないことを見つけることです。あるいはこの世にないものをあらしめることです。それこそが、幸せな社会をつくるんだ、だからイノベーションを起こすんだという確固たるビジョンが、アメリカやヨーロッパの社会にはあったのだと思うんです。

根岸 確かにありましたね。

山口 一方、日本社会では、いやいや、イノベーションとはそうした発見や創造、すなわち私が言うところの創発からは生まれないと考えているのではないでしょうか。日本は一生懸命に海外のまねをして、それを自分たちで改善していく、という姿勢がずっと身に付いている。そのため、発明や発見のために研究をする博士を必要としていないのかな、という気がしてならないんですよ。

根岸 本当にそうだと思います。

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