今月発売の日経Robotics 5月号の読みどころをご紹介します。

 「DARPA Robotics Challenge(DRC)」を覚えていらっしゃいますでしょうか。米DARPAが主催して2013年から2015年にわたって開催した災害対応ロボットの国際競技会です。予選には米グーグルに買収された日本のロボットベンチャー、SCHAFTが出場して首位となり注目を集めました。

 DRCは基本的に遠隔操作ロボットの大会でした。人間が入り込めない災害現場への対応というユースケースを踏まえ、カメラやLIDARなどのセンサ情報を基に人間が現場の様子を判断。数百mほど離れた遠隔地からロボットを操作して各種のタスクをこなしていました。

 そんなDRCで主催者であるDARPAがこだわったのが、ロボットの遠隔制御のための回線です。災害現場は緊急ケースですので、制御回線が何らかの原因で劣化したり、不通になったりするリスクは当然、想定されます。いざ災害が発生した際、「遠隔制御の通信回線の喪失は想定していませんでした」では、災害対応ロボットとして話にならない。軍事研究を通して緊迫したユースケースに精通するDARPAはその点を踏まえ、DRCではロボットの遠隔制御のための回線を、主催者側が意図的に遮断したり、劣化させたりする競技ルールとしました。

 先日、航空法が改正されて以後では初めて、ドローンの墜落による人身傷害事故が発生しました。実はこの事故とDRCには、共通するトピックがあります。さて、なぜドローンの墜落事故とDRCが関連するのか。今回の事故はドローンに関わる人々だけでなく、ロボット技術者に広く関連しうる事例であると本誌はみております。日経Roboticsの最新号で、ぜひその詳細をご確認ください。

visual SLAMベンダーが台頭

 カメラ画像を基に自己位置推定や地図作成を行う「visual SLAM」のベンダーが台頭しつつあります。現状のロボットではSLAMというとLIDARベースのものが主体ですが、低コスト化が必須の民生用途や軽量さが要求される用途では、visual SLAMも有望な選択肢です。そのvisual SLAMについて、日経Roboticsの最新号では4ページにわたってベンダーの動向をまとめました。

 食品分野でもロボットの活用が進んでいます。コンビニ大手のローソンを子会社に持つ三菱商事がコンビニ向け弁当の盛り付けにロボットを適用しました。鮭やコロッケのような崩れやすい具材をシステム構成やハンドの工夫で安定してピッキングできるようにしました。日経Robotics最新号では、この事例を三菱商事の担当者への取材を基にレポートいたしました。

ソニーが取り組む継続学習にグーグルも

 気鋭のAIベンチャー、Preferred Networks共同創業者の岡野原大輔氏に毎号ご寄稿いただいている人気連載「AI最前線」。今回のトピックは「継続学習(continual learning)」です。

 日経Roboticsでは過去にも何度か、この継続学習についてご紹介して参りました。ソニーがロボット事業への再参入を発表した際、同社のAI技術者にインタビュー。継続学習を核に据えている点を報道いたしました(2016年8月号)。また、AI分野でのソニーの協業相手である米Cogitai社の創業者に継続学習などについてインタビューした記事もお届けしました(2016年10月号)。今回のAI最前線では、グーグルのDeepMindによる継続学習について岡野原氏にご解説いただきました。

 最新号ではこのほか、大成建設が自社開発した建設現場向けロボット掃除機、日本郵便によるパワーアシストスーツの導入事例、セールスやマーケティング領域でのPepper導入効果、グーグル出身者らが新たに設立したロボットベンチャー、といったトピックを掲載しております。

ぜひこの機会に「日経Robotics」のご購読をご検討ください。

日経Robotics 最新号はこちら