BOM/BOPの議論で外せないのが、部品番号(以下、品番と呼ぶ)はどうあるべきか、である。品番に対して問題を抱えている多くの企業は、BOM/BOPのシステム再構築を機に、必ずといっていいほどその見直しに向けて検討を始める。

 まず、その背景について整理してみたい。

グローバル生産の増加

 自動車業界では、この10年でグローバル生産(海外生産)が急増中である(図1)。その環境変化とともに、同一の部品が、国内外の複数拠点で調達、製造される機会が増加したといえる。

図1 日本の自動車メーカーの海外生産台数
図1 日本の自動車メーカーの海外生産台数
JAMA(日本自動車工業会)のデータを基に筆者作成。
[画像のクリックで拡大表示]

 従来は、1枚の図面に対して1つの品番を設定することが一般的だった。この場合、仮に生産拠点が日本、タイ、メキシコであったとすると、同じ図面で定義された部品は、どの拠点で調達、製造されたとしても、同じ品番が付与される。

 この方式の問題点は、品番だけを見ると、どこで調達、製造された部品なのか、見分けられないことだ。

 単一拠点で生産される場合には、品番単位で、調達先、製造工程、製造設備、品質、コストなどを管理することで特に問題はなかった。しかし、グローバル生産が一般化した現在、同じ図面であっても、生産される国・拠点が異なると、品質やコストに違いが出る場合が多い。

 つまり、グローバル生産が一般化した現在において、1つの図面で定義される部品に対して、1つだけの品番で管理するやり方は、部品管理という面で限界に達しているといえる。