製品コストの作り込みプロセスの変化

 筆者は、本連載第2回で、製品コストの決定要因が、開発設計段階だけでなく、「どこで造るか」「どのように造るか」の割合が増加している、と言及した。グローバル調達・生産が一般化した現在において製品のコストは、上流の企画・設計段階だけで決まるのではなく、生産技術や調達、生産設備、現地の製造従事者のスキルや生産工程の効率化や標準化度合い、市場投入するための物流など、決定要因は複雑化してきた。生産拠点の選択は、これらの複雑な要素を考慮・分析した上で決定されるべきで、グローバル競争を勝ち抜くための不可欠な要素になったといえる。

 一方、多くの企業の原価企画プロセス(企画・設計段階で目標コストを達成するための取り組み)は、文字通り、企画・設計段階で完結した活動として位置づけられている。連載第2回で言及した「目標原価の80%が開発・設計段階で決まる」が通用する開発・生産モデルであれば、それでもよいと思う。しかし、グローバル生産が一般化し、生産拠点や生産プロセスのコスト変動要因が大きい場合には、この企画・設計段階に閉じたプロセスでは不十分ではないだろうか。

 本コラムは、BOM/BOP(Bill of Materials / Bill of Process)による原価のPDCAをテーマとしているので、BOM/BOPの活用により、いかにコストを捉えるか、PDCAサイクルを高速で回すにはどうすればよいか、に絞って考察を進めていきたい。