米アップルは2017年3月8日、日本のサプライヤーであるイビデンが、アップル向けの製造に関して再生可能エネルギーを100%使用すると発表した

 イビデンは岐阜県大垣市を拠点とするプリント基板やICパッケージ、セラミックス製品を製造しているメーカー。トヨタ自動車との関係も深い企業だ。

写真●イビデンが使用する水上浮揚型ソーラーパネル
写真●イビデンが使用する水上浮揚型ソーラーパネル
(出所:米アップル)
[画像のクリックで拡大表示]

 イビデンがアップルとの間で交わした合意の中で、20以上の再生可能エネルギー施設を設置するとしている。 アップルが公開した写真には、日本最大規模の水上に浮くソーラーパネル施設が含まれている(写真)。アップルはWebサイトに掲載した記事で、「浮揚ソーラーパネルによって、日本の土地を最大限に活用する」と紹介している。

もともと発電会社だったイビデン

 イビデンは、今回のクリーンエネルギー設備の設置で、12メガワットの再生可能エネルギー発電能力を得る。これはアップル関連の製造に使う電力を上回るという。

 イビデンの歴史の中でも、大きな意味のある変化になるかもしれない。イビデンは揖斐川電力として1912年に設立された企業で、発電の認可出力を17.5メガワットまで拡大させた。しかし第二次世界大戦中の1942年、戦時統制の一環で発電・配電設備をそれぞれ統制企業に現物出資し、発電事業を廃止している。

 以降、自家発電による電気化学工業へと主力事業を変えた。イビデンにとって、発電事業は祖業であり、自前の発電設備によって工業を支えるのは昔からの経営スタイルと言ってもいいだろう。