製造業の生産現場のスマート化は、ディスクリート(組み立て)産業を中心に議論されることが多いが、同様の動きはプロセス産業でも見られる。このプロセス・オートメーション(PA)の分野で、産業用IoT(IIoT:Industrial Internet of Things)のプラットフォーマーの座を虎視眈々と狙っているのが横河電機である。

 多数のIT企業が集積する米国西海岸のカリフォルニア州。横河電機が2016年秋に同地に新設したオフィスで、PA分野向けにIIoTサービスを提供するためのプラットフォームの開発が進められている。同社はこのプラットフォームを「IIoTアーキテクチャ」と呼ぶ。2017年2月、同社は米Microsoft社などと協業することで開発をさらに加速させると宣言した(関連記事)。

横河電機がMicrosoft社などと共同で開発を進める「IIoTアーキテクチャ」の概要(出所:横河電機)
横河電機がMicrosoft社などと共同で開発を進める「IIoTアーキテクチャ」の概要(出所:横河電機)
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 IIoTアーキテクチャ開発の目的として、横河電機は「ビジネスモデルの変革」や「事業領域の拡大」を挙げている。端的にいえば、収益の源泉が、コントローラーなど機器の開発・販売から、エンジニアリングやコンサルティングといったサービスへとシフトするということである。

 例えば、IIoT活用では生産現場のデータを集めるために、大量のセンサーが必要になる。しかし、センサーさえあれば誰でもデータを計測できるかというと、そう簡単な話ではない。「欲しいデータを計測するにはどのセンサーを使えばいいのか」「データを正確に計測するには、どう設置すればいいのか」など、センサーだけでもさまざまなノウハウがある。

 横河電機としても、単にセンサーを販売するだけではなく、センサーを使いこなすためのノウハウも含めて提供するサービス主体のビジネスモデルを思い描いている。そういった新しいビジネスモデルをグローバルに展開するための基盤として、IIoTアーキテクチャを位置付けているのだ。