スマート工場の実現に向けて、ロボットに寄せられる期待は大きい。従来、工場におけるロボットの用途は「量産」「定型作業」と相場が決まっていた。だが、今後は「多品種少量」「非定型作業」への適用が期待されている。

 ヤマハ発動機が2016年12月に発売した自動化ライン向けロボットシステム「Advanced Robotics Automation Platform」は、まさにそのような需要の取り込みを狙ったものである。「Industrie 4.0やIIoT(Industrial Internet of Things)といったコンセプトが提唱されているが、それらはふわっとしていて、現実とのギャップがあるように思う。そのギャップを埋めることを念頭に開発してきた」。同社IM事業部ロボットビジネス部長の村松啓且氏は、新ロボットシステムについてこのように語る(Advanced Robotics Automation Platformの関連記事)。

自動化ライン向けロボットシステム「Advanced Robotics Automation Platform」
自動化ライン向けロボットシステム「Advanced Robotics Automation Platform」
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 新ロボットシステムでは、自動化ラインを構成する水平多関節ロボットや単軸ロボット、リニアコンベヤーモジュール、カメラなど多様な機器をそろえた。その設計思想は、同社の従来品と大きく異なっており、新ロボットシステムの機器と従来品との間に互換性はない。生産ライン向けのシステムとしてはかなり大胆な決断といえるが、新時代のものづくりに対応するためと割り切った。

 最大の特徴は、複数の機器を1台のコントローラーで制御する「統合制御」の手法を採り入れたことにある。新ロボットシステムでは、1台のコントローラーに対して、ロボットやリニアコンベヤーモジュールは最大64台、モーターは最大255台を接続できる。従来は、機器ごとにコントローラーを設けるのが一般的だった。