中村 大介(なかむら・だいすけ) 高収益化支援家、弁理士
中村 大介(なかむら・だいすけ) 高収益化支援家、弁理士
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 仕事柄、私はいろいろな会社の方と会食をする機会があります。私の仕事のほとんどが技術系であることから、会食の相手は男性であることが多く、そこに時々女性が来られます。先日、とある会食で、女性のNさんと一緒になり、その方の話に「男気」をひしひしと感じました。

 Nさんは非正規職員なのですが、仕事は正規職員よりもできるそうで周囲の評価も高いようでした。正確さの要求される仕事は寸分違わぬ正確さでこなし、正規社員に要求されるような資格などに対しても「Nさんも取ってみたら」と薦められればどんどんと取る。そんな、正規社員の若手からも慕われているNさんは、「新社会人が選ぶ理想の上司 女性編」(明治安田生命)で2010年から7年連続1位を獲得している天海祐希さんを彷彿とさせます。

 とりわけ、若手のA君はNさんを頼りにしているようです。二人は、入社時期こそ近いものの、正規と非正規ですから受けてきた教育は全く違います。もちろん、A君が受けた教育の方が充実しています。しかし、仕事の能力はといえば、Nさんの方が明らかに上。A君に分からない仕事がある時には、Nさんが事実上の教育係として接し、「知らないことは仕方ないね」と優しく教えているそうです。しかし、件のA君は甘えん坊。同じことを幾度となく聞いてきたり、小さなミスを繰り返したり…。そんな甘い部分を見せるときには、Nさんがビシっと言っているとのことでした。

 こうした「指導」ぶりを聞きながら、Nさんの仕事力は相当高いと感じました。そして、そんな仕事力には、正規も非正規も、ましてや男性も女性も関係ないものだ、とも思いました。非正規で女性のNさんは正規で男性のA君よりも、業務の背景や意味をきちんと理解し、A君の成長までを見越して指導をしているというお話ぶりだったのです。

 会食の席で、「男気」という言葉が出ました。しかしよくよく考えてみると、男気という言葉の正確な意味を知らないと思い、改めて辞書で調べてみたところ、そこには「犠牲を払って人に尽くしてやる気性。義俠心」とありました。なるほど、Nさんの指導ぶりは女性でありながら、まさに男気にあふれたものだと確信したのです。