連載趣旨

 製造業は現在、変革の過渡期にあります。事実、インダストリー4.0やIoT、AI、自動運転などさまざまな変革が起きています。しかし、どのような変革が起きても変わらないものがあります。それは、ものづくりの原点である、「創造したことを形にすること」です。
 創造したことを形にするためには、言葉やメモだけでは限界があります。そこには必ず図面が必要です。そして、それを造り上げるのが設計者の仕事です。
 ところが今、日本企業の中で、図面を作成する力が非常に低下しているという実態があります。設計者にかかる負荷が昔よりも大きくなる上に、設計者はさまざまな業務をこなさなければならず、本来の設計の仕事である、創造して図面を起こすことに時間を割けなくなっているのです。加えて、図面を作成したとしても、その図面が正しいかどうかを検証する時間も確保できていません。
 このコラムでは、こうした問題を解決すべく、高い生産性を確保しながら設計者に本来の仕事をしてもらうために、自動車メーカーなどが考えている最新の設計手法とその必要性を語っていきます。

中山 聡史(なかやま さとし)
A&Mコンサルト 経営コンサルタント
中山 聡史(なかやま さとし)

2003年 関西大学機械システム工学科卒
2003年 大手自動車メーカーにてエンジン設計、開発、品質管理、環境対応業務等に従事。全てのエンジンシステムに関わり、海外でのエンジン走行テストなどにも同行経験有り。
2011年 株式会社A&Mコンサルトにて製造業を中心に設計改善、トヨタ流問題解決の考え方を展開。「ものづくりのQCDの80%は設計で決まる!」の理念の下、自動車会社での設計や開発、製造、品質保証などの経験を生かし、多くのものづくり企業で設計業務改革や品質・製造改善、生産管理システムの構築などを支援している。