流用設計をする際の2つのポイント

 では、正しく流用設計を行うにはどのようにしたらよいのでしょうか。本来は、流用元を選定した根拠と、その選定した図面の新規設計部分はどこなのかを明確にした時点で、設計検証会を開くべきです。流用元の図面を選定した根拠の明確化を、設計担当者だけではなく、設計チームとして全員で確認するためです。

 この設計検証会を実施することにより、正しい流用元を選定でき、やり直しの削減につながります。加えて、新規設計部分が明確になるのです。その後、本コラムの第13回で説明した「DRBFM」を実施することで、図面の品質をさらに高めることができます。

 流用設計を始める際に必要なことは次の2つです。

[1]流用元選定の根拠の明確化
[2]流用元からの変更内容の明確化

 この2つを実施するだけで、後から起きる問題点を減らすことが可能です。つまり、フロントローディングの実現が可能になるのです。

 以前説明したモジュール化も非常に有効です。しかし、どのバリエーションを選択し、どのような変動部の数値とするかを検証する必要があります。この検証をせずに進んでしまうと、先ほどの流用設計と同じような結果になります。選定するための根拠は絶対に必要なのです。

 その根拠を明確にするには、構造をしっかりと把握しておかなければいけません。何も考えずに選定することはできないのです。その意味ではモジュール化をうまく活用し、新人設計者への教育(構造の理解)につなげることもできるでしょう。

 いかがでしょうか。流用設計では設計を始める瞬間が最も重要だということを理解してもらえたでしょうか。そして、ポイントさえ押さえておけば、設計のやり直しが減少していくのです。ぜひこの機会に見直してみてください。