中山聡史=A&Mコンサルト 経営コンサルタント
中山聡史=A&Mコンサルト 経営コンサルタント
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 皆さんは流用設計をするときに、どのような検討をしていますか。流用元を選定するためにいろいろな人に話を聞きに行ったり、過去の図面を読み返しながら悩んだりしたにも関わらず、間違った流用元を選定してしまった経験はありませんか。

 いかに優秀な設計者であっても、その会社が過去に開発した製品の全ての機能や性能を理解することは難しいと思います。昔の製品であればベテラン設計者に聞き、近年の製品であれば上司に聞くといったことをしているのではないでしょうか。実際、多くの設計者が流用元の選定に非常に多くの労力を使っています。

 では、流用設計にどのようなメリットがあるのでしょうか。端的に言えば、「一から設計しないことによる開発リードタイムの短縮が」が主な目的です。加えて、検図においても流用設計部分については検図をしない(ただし、インターフェース部分は検図する必要があります)ので効率化できます。

 こうしたメリットがあることから、流用設計を基本に製品を開発している会社がたくさんあります。では、流用設計によるメリットを最大限に生かし、品質を向上させるためにはどうしたらよいのでしょうか。

 流用設計で最も重要な部分は、流用設計するための流用元の選定です。皆さんの会社では、この重要な選定を設計担当者のみに任せていないでしょうか。設計担当者だけに任せていると、後々「この装置を流用した方が設計工数が少なくて済んだのに」とか、「この装置を流用した結果、製造段階でやり直しが多発した」とかいった問題が発生します。もちろん、設計担当者だけが選定を行っても正しい流用元になる場合もあります。全ての原因が設計担当者の選定ミスとは言いません。むしろ、設計担当者は自分で知っている範囲の知識や経験を総動員して考えます。しかし、それでも間違ってしまうことがあるのです。