トヨタに迫れ!検図の極意

あなたの会社のDRは本物ですか?

第10回 検図とDRの関係性

  • 中山聡史=A&Mコンサルト 経営コンサルタント
  • 2017/08/10 05:00

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中山聡史=A&Mコンサルト 経営コンサルタント
 今回は、DR(Design Review /設計審査)について考えてみたいと思います。本コラムの第2回でも述べた通り、DRは検図と同じぐらい重要なイベントです(既に検図の重要性は理解されていることを前提としています)。ところが、それほど重要なDRが軽視されている場面が日本企業では多々見られるのです。

 軽視とはいっても、DRを実施しなければならないことは皆さん理解しているようです。従って、実施してはいます。ところが、時間に余裕がないため、実施しているのは本当の意味でのDRではなく、形式だけのDR。これにより、なし崩し的に図面が出図され、その図面で製造した製品がお客様に届けられているのです。

 このコラムを読んでいる読者の皆さんは、設計への意識が高い設計者だと思います。そのため、こんなことをしていたら、どのような問題が発生するか簡単に想像がつくことでしょう。こうした状態でお客様に届けられた製品は、機能や性能が十分ではなかったり、不具合が発生したりする可能性が高くなります。たまたま問題が発生しなかったとしても、次の開発時にこの製品を流用するとどうなるでしょうか。より高い確率で問題が起きるはずです。

 なぜ、そうなるのか。理由は、設計検証ができていないからです。確かに、設計者は自ら設計検証を行っています。しかし、設計者だけの知見で全ての設計検証が可能であれば、そもそもDRというものがこの世に存在するはずがありません。

 DRの目的は、「問題の未然防止」です。検図とは使用するものが異なりますが(検図:図面と補完資料、DR:設計検証資料)、目的は同じ。製品ライフサイクル中に不具合を発生させずに、市場から要求された機能や性能を維持することです。

 では、日本企業が実施しているDRには、どのような問題が発生しているのでしょうか。私がさまざまな企業を支援している中で、問題だと考えるものを列挙してみましょう。

[1]レビュアーがつるし上げ、他の人は黙って聞くだけになっている。
[2]事前に資料が配布されず、当日にいきなり説明されるため、内容を吟味する時間がない。
[3]部門間で対立する利害を調整するだけに終わっている。
[4]結論が出ない。
[5]好ましくない事態や異常事態(リスク)を予測しない。
[6]DR終了後に改善点をフォローせずに放置している。
[7]時間がムダに長い。
[8]単なる進捗の報告会になっている。

 皆さんの会社のDRはどうですか。こんな内容であれば、DRを行う意味はありません。

効率的なDRの進め方

 本来あるべきDR(以下、本物のDR)では、ファシリテーターと書記を設定し、タイムマネジメントしながら適切な議論を進めていきます。では、先に挙げた問題だらけのDRになることを回避するために、どのように進めていくべきでしょうか。以下のようになります。

[1]資料は読み上げずに事前に配布する。もしくはその場で黙読してもらい、要点を解説する。
[2]議論では口頭内容を板書し、「見える化」する。
[3]議長はファシリテーターを務め、議論を進めてまとめる。
[4]決定した事項と実施すべきこと、未決定事項を確認する。
[5]担当者と期限を明確にする
[6]板書内容を基に議事録を作成して発行する。
[7]必要に応じて次回の会議日程を決定する。

 実は、こうした当たり前のことが当たり前にできていないDRがほとんどです。特に[1]と[4]については必ず実施してください。この2つを実施するだけでも、DRの質はぐんと高まります。

DRでの禁止事項

 本物のDRにはルール、すなわち禁止事項があります。これについても列挙しておきましょう。

①ノートパソコンの持ち込み禁止(“内職”禁止)
②議論の最中における、担当者間での議論禁止
③電話禁止(マナーモードに設定する)

 中でも、①のノートパソコンの持ち込み禁止は絶対です。キーボードをパチパチ叩いている担当者は、DRの議論内容をほとんど聞いていないからです。ぜひ、この禁止事項をあなたの会社のDRでも試してみてください。議論の内容が深くなることに気付くはずです。

 次回は、DRの準備内容やDRにおける役割と責任の内容について紹介します。