中山聡史=A&Mコンサルト 経営コンサルタント
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中山聡史=A&Mコンサルト 経営コンサルタント
 検図というタイトルでこのコラムを書いています。今回は違った視点から検図にメスを入れてみましょう。検図のモジュール化について考えてみたいと思います。モジュール化は製造業で10年以上前から導入されてきましたが、自動車メーカーではもっと前から取り組んでいます。最近ではシャシーやエンジンといった大きなユニットのモジュール化が進んでいます。

 例えば、トヨタ自動車はセグメントをまたぐ部品の共通化を踏まえた設計思想(モジュラー設計)である「TNGA(Toyota New Global Architecture)」を適用した新型エンジン「Dynamic Force Engine」を2016年末に発表しました。基本骨格を一から考え直し、構造や構成を刷新することによって高い走行性能と環境性能を両立させています。

 今後はこのエンジンからさまざまなバリエーションのエンジンが生まれていきます。TNGAの思想の下にDynamic Force Engineが設計されたわけですから、排気量が違っても基本骨格は同じはずです。ということは、これまでにエンジン開発にかかっていた期間は大幅に短縮されることでしょう。一部のカスタマイズだけでエンジンの開発が可能となるのです。まさに、その考え方がモジュール化であり、流用設計の究極の姿といえます。

 では、モジュール化の考え方を見ていきましょう。