中山聡史=A&Mコンサルト 経営コンサルタント
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中山聡史=A&Mコンサルト 経営コンサルタント
 新製品を設計するときに、皆さんは最初に何をしますか?

 私は、企画書や類似製品、競合他社製品を見ながら図面(ポンチ絵)を描くことからスタートします。図面を描きながら、どのような構造になっているのかについて興味深く観察するのです。こうすると、製品特有のさまざまな機能が見えてくるからです。

 今は3D-CADがあるため、まずは3次元モデルを作成し、続いて2次元の図面に落とし込んでいきます。2次元の図面への落し込み方については設計者の自由です。ただし、この「自由にさまざまな選択ができる」という部分に注意が必要です。

 例えば、類似部品が存在しているとします。ここで、2人の設計者がそれぞれ図面を作成するとどうなるでしょうか。ほとんど形状や構造が同じ部品であるにも関わらず、なぜか両設計者で異なる図面が提出されます(同じ図面の場合もありますが、極めてまれです)。その原因は、それぞれの設計者で表示すべき投影面が異なっていたり、寸法の入れ方が違っていたりするからです。どちらかの設計者が間違っていると言っているのではありません。これは設計者の考え方の違いにより発生する問題なのです(後ほど事例を説明します)。

 同じ投影面や同じ寸法の入れ方の方が、誰にとっても分かりやすい図面になる。このことに異論はないはずです。要は、それぞれの企業の中で図面の描き方を統一することが重要なのです。

 誰にとって分かりやすい図面にするのか? それはもちろん、製造者です。製造者にとって分かりにくい図面を描いた場合、設計者に問い合わせが来ます。すると、問い合わせが来るたびに説明に行くことになります。これでは時間も労力もムダです。最悪の場合は製造者が勝手に理解し、間違った加工をしてしまうなどということも起こりかねません。

 これを防ぐには、後工程である製造者にとって分かりやすいように図面の描き方を社内で統一しておく必要があります。その図面を、私は「標準図」と呼んでいます。企業の中で「標準」とされている図面のことです。