中山聡史=A&Mコンサルト 経営コンサルタント
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中山聡史=A&Mコンサルト 経営コンサルタント
 検図に必要なツールを前回紹介しました。具体的には次の6つです。

[1]設計書
[2]機能系統図
[3]制約条件
[4]標準図
[5]標準的な設計基準[6]DRBFM

 では、これらのツールの詳細について説明していきましょう。

 まずは、設計書です。最初に断っておきますが、設計書とは「主要諸元」を明らかにするものではありません。設計を始める前に最低限の情報を明確にするためのものです。まずは皆さんに、「間違った設計書」とはどのようなものかを説明していきます。

間違った設計書
A素材、冷却装置、設計仕様書
〇〇漕から取り出された〇〇製造完了直後のA素材の温度はおおむね200℃。これを常温もしくは常温近くまで冷却する。冷却は、水をA素材に噴霧することにより行う。なお、散水直後から数分間発生する冷却に必要なガスはB装置に送られる。

装置に必要な機能や部品
[1]冷却装置メンテナンス用の階段
[2]冷却装置扉
[3]A素材自動搬送
[4]冷却サイクル〇〇分

 いかがでしょうか。これでA素材を冷却するための装置を製作することができるでしょうか。

 この設計書の内容では設計に必要な情報が足りません。冷却装置の専門メーカーであっても設計に着手することは難しいと思います。

 例えば、「おおむね200℃」というのは、非常にあいまいな情報です。200℃を中心に温度範囲を明確にしなければなりません。「常温」という表現も同様です。常温という言葉の定義は企業によって異なる場合があります。すると、顧客が望む温度まで冷却されない可能性が十分に考えられます。