中山聡史=A&Mコンサルト 経営コンサルタント
中山聡史=A&Mコンサルト 経営コンサルタント
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 これまでフロントローディング開発プロセスについて説明してきました。何度も言いますが、検図はフロントローディングを実現させるために非常に重要なツールです。

 にもかかわらず、「日本の製造業では検図の位置付けが非常に低い」と私は感じています。もちろん、検図に時間をかけてしっかりと実施している企業もありますが、かなり少ないと言えます。それよりも、検図の位置付けが低い企業の方が圧倒的に多いというのが実態です。

 私が検図の位置付けが低いと感じる理由の1つを挙げましょう。それは、多くの日本企業が業務フローの中に「DR(Design Review /設計審査)」を記載するのに、「検図」をイベントの1つとして記載している業務フローを見たことがないから、です。

 ある企業の経営陣はこう語っていました。「検図なんて単なる作業。DRほど大事なイベントではない。技術部門の中で時間を取って実施すればよいし、ベテランが書いた図面であれば、わざわざ検図する必要はないだろう」と。この言葉に私は衝撃を受け、「日本の製造業では検図の位置付けが非常に低い」という思いは決定的になりました。

 DRはもちろん重要なイベントです。製品が出来上がるまでにさまざまな課題を挙げ、全部門の衆知を結集して、解決策を導く。しかし、いくら解決策をDRで導いたとしても、その内容が正しく図面に反映されていなければ意味がありません。だからこそ検図というイベントが存在し、重要性が非常に高いのです。