つるし上げイベント?

 もう1つの大切な仕掛けが[2]DR(Design Review /設計審査)です。日本企業であれば必ずと言ってよいほどDRを実施していると思います。それでも、あえてここでDRの定義まで立ち返っておさらいし、本来のDRとは何かを考えてみましょう。

 DRの定義は次のようになります。

「設計段階における審査のこと。性能や機能、信頼性、価格、納期などを考慮しながら設計内容を審査し、問題点を挙げて改善を図るための手法。審査には営業や企画、設計、購買、製造など各分野の専門家が参加する」──。

 あなたの会社のDRは、設計者の「つるし上げイベント」になっていませんか。私のコンサルティングの経験から言わせてもらうと、ほとんどの企業でDRが設計者の「つるし上げイベント」になっていました。問題点を議論せず、ひたすらダメ出しをする。これでは本来のDRになっていません。

 本来のDRは先の定義の通り、問題点を挙げて改善の方向性を考えることです。しかし、それを実行するには設計部門の知恵だけでは足りない可能性がある。だから他の部門にも参加してもらい、知識を出し合うのです。

 こうした本来のDRを実行するためには準備が必要です。事前にDRの資料を配布し、レビュアーに問題と改善策を考えてもらうことです。その上で、あらかじめ考えてもらった問題と改善策についてDRの場でしっかりと議論します。小さいことと感じるかもしれませんが、DRを行うためにはこうした仕掛けや意識改革が必要なのです。

 フロントローディングを実現するためのツールについては、もう少し説明したいことがあります。それは次回以降としましょう。