中山聡史=A&Mコンサルト 経営コンサルタント
中山聡史=A&Mコンサルト 経営コンサルタント
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 自動車メーカーに勤めている時に初めて中国に行きました。そこでは驚きの連続でした。さまざまな場面で、日本と中国の文化の違いを思い知らされました。中でも、中国のクルマ事情を自分の目でしっかり見たいと思い、中国の道路はどうなっているのか、運転の仕方はどうなのか、制限速度はどうなのかなどにも注目していました。

 今回は今年(2018年)最初のコラムということもあり、そこで感じたことも含めて、設計者の心得を書きたいと思います。中国に行って、私が知ったことは以下の通りです。

[1]制限速度
 私が見落としただけなのかもしれませんが、空港からホテルまでの高速道路には制限速度の看板がありませんでした。そのためかどうかは分かりませんが、タクシーは約160km/hの速度で走っていました。ものすごい恐怖を感じたことを覚えています。しかし、制限速度がある高速道路では、大抵のクルマが制限速度を守って走っていました。確か、制限速度は120km/hだったと思います。「ルールがあれば、守る」という国民性を感じました。

[2]路面状態
 路面の状態には正直驚きました。阪神高速より路面状態が良くきれいだったのです。これは、万博が開催された影響もあると思います。しかし、地方に行くと整備どころかセンターラインもない状態。信号も古ぼけている感じでした。中国全土で見ると、まだまだ整備されているとは言えない状況です。

[3]運転の仕方
 これにも驚きました。なぜかというと、タクシーが全てマニュアル車だったからです。運転の仕方とは関係ないと思う人が多いと思いますが、ここからが重要です。マニュアル車では人間が操作する分、開発する側としてはいろいろな操作を想定しておかなくてはなりません。これがとても難しいのです。

 見ているうちに、タクシーの運転手に一定の運転法則を見つけました。発進する時は1速(または2速)ですが、速度がほとんど上がらないうちに4速ぐらいまですぐにシフトアップするのです。そのため、非常に低回転の状態で走り続けます。排気量の小さいクルマではトルクが足りず、ゴトゴトと音がします。速度を上げて走っていて、渋滞などで速度が落ちてきても、なかなかシフトダウンしません。恐らく、クラッチを切っているのではないかと思います。基本的にはできる限りシフトチェンジをしないように運転しているのだと感じました。