昨日、編集部に驚きのニュースが入ってきました。日本マイクロソフト 会長の樋口泰行氏が、2017年4月1日付でパナソニックの専務役員に就任するとのこと。当初は、同年3月31日付で会長を退任し、4月1日付で日本マイクロソフトの顧問に就く予定でしたが、顧問には就任せず日本マイクロソフトを退職するそうです。

樋口氏(写真:加藤 康)
樋口氏(写真:加藤 康)
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 樋口氏とはつい先日、お会いしたばかり。日経デジタルヘルスが開催した座談会「情報化が切り拓く、ソーシャルホスピタル実現への処方箋」(座長:医療法人鉄祐会 理事長でインテグリティ・ヘルスケア 代表取締役会長の武藤真祐氏、特別協力:日本マイクロソフト、インテル)の第1回で、開催挨拶をしてもらいました。

 その挨拶で、樋口氏はこのように語りました。「ソフトウエアやコンピューティングの活躍の場があらゆる分野へ広がり、AI(人工知能)やコグニティブ、ロボティクス、IoTなどのキーワードを耳にしない日はない。これらの技術を使ったさまざまな実証が進められており、デジタル技術でどんな新しいことができるかのブレストが重要になっている。メディカルやヘルスケアの領域でも、新しいアイデアが活発に議論されることに期待している」。

 他業界の方にはあまり知られていないかもしれませんが、日本マイクロソフトは今、デジタルヘルス領域でさまざまな取り組みを進めています。例えば、同社のクラウドサービス「Azure(アジュール)」の活用は、その一つです。

日本マイクロソフト
(『日経デジタルヘルス年鑑2017』Web版 第3章 分野別動向データベース 企業編から)

 「日経デジタルヘルス編集部が選ぶ、2017年を占う10大キーワード」でも選出したように、医療分野でのクラウド活用は、その機運が高まってきています。ここにきて、ようやく医療機関における実質的な活用が広がりだす兆しが見えてきたのです。これまで医療情報をクラウド上で扱うことに対しては、情報漏えいのリスクから否定的な意見が多かったのですが、今では9割以上の病院がクラウドサービスの利用を肯定的にとらえているという調査もあります。

 まだ幾つかの障壁があるのが現状ですが、今後の分散型医療(ソーシャルホスピタル)の実現にクラウドの活用は必須になるでしょう。さて、今後の医療の姿を考える前述の日経デジタルヘルス座談会、第2回は4月頭に開催予定です。このあたりのテーマも議論に入ってくるかもしれません。