「システムサプライヤー(自動車メーカーに直接システムを提案・納入する1次部品メーカー)」か、「スーパーTier2(システムサプライヤーに必要不可欠な存在である2次部品メーカー)」になるためは2つの方法があると説いてきた。また、方法に加えて、「武器」が必要であると前回解説した。
自動車業界では今、電気や水素などによる駆動燃料の変化に伴う自動車の構造変化や、自動運転を目指した電子制御の進化、安全・安心に関わる新規機能増加などが顕著だ。こうした変化に対応するには、自動車メーカーが自社の開発機能を強くする必要がある。開発に強いとは「自動車メーカーの要求を先読みし、他社よりも優れた条件で製品を提供すること」に他ならない。これを実現するためには、フロントローディングによる製品開発が必要だ。そのためには以下のような開発能力を身に付けることが大切だ。
[1]先読み:要求や変化を先読みし、要件を定義できる
[2]選択:要件を実現するための技術的手段を複数持ち、適切な手段を選択できる
[3]差異化:他社と比較し自社の技術的強みをつくり出せる
[4]実現:実機を試作する前段階からシミュレーションなどを使い、机上レベルで成立性を検証して形にできる
上記の開発能力は当たり前のように捉えがちだ。しかし、完璧にできていると言える開発現場はどれくらいあるだろう。現実には要件を十分に整理しないまま設計に進んでいるケースが少なくない。ではどうすればよいのか?