野口 宏太=経営共創基盤(IGPI)マネジャー
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野口 宏太=経営共創基盤(IGPI)マネジャー
三井 喬士=経営共創基盤(IGPI)マネジャー
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三井 喬士=経営共創基盤(IGPI)マネジャー
 「自動車部品メーカーが10年後に勝ち残るために、戦い方は2つある」。そう、本コラムで幾度も提言してきた。1つは、自動車メーカーのシステムユニット単位での調達要求に応えるために、「自動車メーカーに直接システムを提案・納入する1次部品メーカー(以下、システムサプライヤー)」になること。もう1つは、そのシステムサプライヤーに必要不可欠な存在である2次部品メーカー「スーパーTier2」になることだ。

 この2つの戦い方から、自社の現状の立ち位置はどこにあるかを冷静に見極め、どちらの戦い方が自社にとって最善なのかを間違えずに選択することが、10年後に勝ち残る上で絶対に必要なことである。ただし、どちらの戦い方を選んだとしても、フロントローディングという全社的な組織活動を実行し、競争力のあるシステムや部品をタイムリーに供給する体制を構築しなければならないことは変わらない。

 では、戦い方を決めてそれを実行すれば十分なのだろうか。残念ながら答えは「NO」だ。10年後に勝ち残るためには、超えなければならないハードルがまだある。皆さんの生産現場で、次のような課題「あるある困難」が起きていないだろうか?

<システムサプライヤー 、スーパーTier2になるために困難なこと「あるある」>
✔フロントローディングを実行するために、市場動向や顧客動向を把握し、要求仕様を明確にしたが、製品要件に正しく反映することができず、受注活動が難航
✔要求仕様を達成する製品を開発したが、グローバルで仕様バリエーションが増え続け、部品調達のスケールメリットが出せずに調達コストが高止まり
✔新たに開発した部品やコストダウン施策を自動車メーカーに採用してもらいたいが、地域や顧客ごとに織込み時期がバラバラになり、生産現場が大混乱
✔地産地消の考えのもと、自動車メーカーの生産工場の近くで自社部品を生産、納入してきたが、その結果、生産設備がグローバルに分散し非効率