野口 宏太=経営共創基盤(IGPI)マネジャー
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野口 宏太=経営共創基盤(IGPI)マネジャー
三井 喬士=経営共創基盤(IGPI)マネジャー
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三井 喬士=経営共創基盤(IGPI)マネジャー

フロントローディングの進め方は普遍

 自動車部品メーカーが10年後に勝ち残るためには、自動車メーカーに直接システムを提案・納入する1次部品メーカー(以下、システムサプライヤー)を目指すか、システムサプライヤーにとって不可欠な2次部品メーカー「スーパーTier2」になるか、という2つの戦い方があることを前回説明した。しかし、システムサプライヤーかスーパーTier2か、どちらを目指すにしても、戦い方を間違えると勝ち残ることはできない。それどころか、市場から退場させられるリスクもはらんでいる。そこで、今回は勝つためのメソッド(戦術)について解説したい。

 まず、市場の規制や一般ユーザーのニーズを調査し、顧客である自動車メーカーや1次部品メーカーの動向とニーズを把握した上で、フロントローディングを実行する。その上で競争力のあるシステムや部品をタイムリーなタイミングで供給することが肝要だ。当たり前のことかもしれないが、それができていない自動車部品メーカーが多いのではないだろうか。こうした当たり前のことが、システムサプライヤーにもスーパーTier2にも求められる。

 これを実行する上で、システムサプライヤーとスーパーTier2で異なるのは、「自社の顧客」と「自社が機能・性能について責任を負うべき範囲」の2つだ。「自社の顧客」とは、システムサプライヤーの場合は「自動車メーカー」であり、スーパーTier2の場合はシステムサプライヤーである。しかし、顧客が異なっても、フロントローディングの基本的な進め方が変わるわけではない。また、自社が責任を負うべき範囲は、システムサプライヤーの場合はシステム全体だが、スーパーTier2の場合は1部品のみという違いがある。しかし、対象範囲が異なるだけで、フロントローディングの進め方は変わらない。つまり、普遍的な戦い方は、システムサプライヤーでもスーパーTier2でも同じだと言える。