野口 宏太=経営共創基盤(IGPI)マネジャー
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野口 宏太=経営共創基盤(IGPI)マネジャー
三井 喬士=経営共創基盤(IGPI)マネジャー
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三井 喬士=経営共創基盤(IGPI)マネジャー
 自動車部品メーカーは、これまでと同じ戦い方をしていては勝ち残れない。自動車部品メーカーに対する自動車メーカーの要求は、部品仕様の提案に加えて、システム仕様の提案にまで拡大してきている。その上、今後、自動車メーカーは部品単位での調達から、システム単位での調達に切り替えていく傾向にある。部品単品で商売をしている自動車部品メーカーは、仕事のやり方を変えざるを得なくなるだろう。

 前回、その対応として、2つの戦い方を解説した。1つは自動車メーカーに直接システムを提案・納入する1次部品メーカー(以下、システムサプライヤー)になること。もう1つは、システムサプライヤーにとって不可欠な2次部品メーカー「スーパーTier2」になることだ。ただし、どちらの戦い方を選択してもリスクが伴う。今回はその点について詳しく解説しよう。

メガサプライヤーとのガチンコ勝負

 まず、システムサプライヤーになった場合、自社の競合が変わる。世界規模の自動車部品メーカー(以下、メガサプライヤー)である、例えばドイツContinental社やドイツRobert Bosch社、デンソーといった企業へ真正面から戦いを挑むことになる。メガサプライヤーは従来からシステムサプライヤーとして「システム性能の測定・分析力」や「システム設計・構築力」を蓄積してきている。彼らとの戦いに勝つことが容易ではないことは言うまでもない。

 とはいえ、システムサプライヤーは車両性能に直結する高付加価値品を提供できる。そのため、部品単品を提供する場合と比べて、売上高を伸ばしたり利益率を高めたりするチャンスにあふれている。

 図1に、部品単品を製造する自動車部品メーカーからシステムサプライヤーへと成長したContinental社の業績推移と企業沿革の関係を示す。部品単品を供給する自動車部品メーカーだった頃は営業利益率が2~4%であったのに対し、システムサプライヤーになることでそれが10%以上に向上していることが分かる。システム構築力を磨き、自社のソリューションの付加価値を「見える化」する。こうして、自動車メーカーの開発リソースのシフトに合せて自社の付加価値を訴求することが勝ち残る道なのだ。

図1●Continental社の業績推移と企業沿革。出所:SPEEDA、Continental社のホームページ情報を基にIGPIが作成
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図1●Continental社の業績推移と企業沿革。出所:SPEEDA、Continental社のホームページ情報を基にIGPIが作成