「ヒトならではのインターネット、すなわちIoH(Internet of Human)を作りたい。IoHはモノのインターネットIoT(Internet of Things)の拡張版ではないはずだ」
このように言うのは、東京工業大学教授の三宅美博氏である。IoHを使うと、例えば人の動きなどから場の空気を読んで、コミュニケーションを潤滑にするように働きかけることができる。将来のオフィス環境で仕事の効率を高めたり、工事現場での安全性向上や不正防止につなげたり、といったことが可能になると同氏は期待している。オフィス環境の改善では富士ゼロックス、工事現場の活用には竹中工務店がかかわる。
IoHがIoTと質的に異なると三宅氏が指摘するのが、ヒトやモノへの働きかけ方を決める制御機能の配置である。IoTでは集中制御が一般的であるのに対し、ヒトは自律分散協調が適していると同氏は考える。例えば、IoHを構成しているヒトが、コンピューターからの指示通りに動く集中制御型ではなく、気付きを与えられるなどして自発的に動く自律分散型で、結果として最適な成果を得られるようにすることを目指す。