中国で、人工知能(AI)とコネクテッドカーに関する産官学一体組織が設立された。2017年6月12日に北京で「中国智能網聨汽車産業創新聯盟」(CAICV: China Industry Innovation Alliance for the Intelligent and Connected Vehicles)が発足。同分野で有力な98の企業や大学などが加盟した。

指導委員会の主任を担当する中国工業と情報産業部の苗●(土偏に于、Miao Yu)部長
指導委員会の主任を担当する中国工業と情報産業部の苗●(土偏に于、Miao Yu)部長
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 主なメンバーに、第一汽車や長安汽車、広州汽車研究院、百度、中国自動車工程学会、中国自動車工業協会、清華大学などがいる。協会内部に指導委員会を設けており、中国政府の工業と情報産業部の指導を直接受ける。指導委員会の主任には、政府の工業と情報産業部の苗●(土偏に于、Miao Yu)部長が就任した。中国政府が今回の産官学組織を強く後押しをしている構図が見える。

 中国政府は、2015年5月に公表した「中国製造2025(メイド・イン・チャイナ2025)」ではもともと、人工知能(AI)とコネクテッドカーを新エネルギー車と並んで重点的に推進する方針を定めている*1。加えて政府は2017年4月に、2025年までの自動車産業の育成計画「自動車産業の中長期発展計画」を公表しており、この中で「2020年にレベル1の自動運転機能を持つ自動車が新車の50%、レベル2は10%を占める」という具体的な目標を設定した*2。また、上海でコネクテッドカーの試験場やモデル地区を建設しており、研究開発を進めている。中国の専門家の試算では、2020年には環境感知や地図、ポジショニング、テレコムサービスなどコネクテッドカーに関連する分野で約1000億元(約1兆6000億円)の新規需要が生み出せるという。

 「中国智能網聨汽車産業創新聯盟」の中では指導委員会のほかに、理事会と専門家委員会が設けられている。理事会の理事長は、中国自動車工程学会の理事長付于武氏(Fu YuWu)と、中国自動車工業協会の常務副会長の董揚(Dong Yang)氏が共同で就任した。副理事長は、百度副総裁の烏●学斌(●はおおざと、Wu XueBin)氏が就任。専門家委員会には第一汽車の副総工程師の李駿(Li Jun)氏が主任に、清華大学自動車工学の李克強(Li KeQiang)教授が常務副主任にそれぞれ着いた。

 また、車載と感知設備、人工知能による解析とコントロール、V2X(車車間通信および路車間通信)、データー・プラットフォーム、情報セキュリティ、政策と法規、モデリングとテスト、商用車といった八つの専門部会を設けている。