中国の自動車メーカーによる世界進出が本格化している。南アフリカやエクアドル、ロシアなどで製造工場やノックダウン生産、輸入販売の拠点づくりが進行している。2017年4月に公表された中国政府が制定した2025年までの「中国自動車産業育成計画」の中でも、「2020年に中国ブランド車を自動車先進国へ輸出させて、2025年に中国ブランド車の世界における知名度をさらに向上させる」と育成テーマを明記していた*1

*1 中国自動車産業育成計画についての詳細は、「中国が自動車産業の中長期計画、自動車大国から「強国」へ」を参照

北京汽車、アフリカの工場に最大規模の投資

 北京汽車が2016年8月に着工し、8億米ドルを投資した自動車製造工場は、南アフリカのポートエリザベスで建築中が進んでいる。予定では、2017年末に工場を稼動して年間生産能力が10万台にも達する。この工場への投資額は中国の自動車メーカーによる海外投資では最大規模で、最大の生産能力を持っているという。同社は中国国外に生産拠点を4カ所、ノックダウン生産工場を22社保有している。2013年6月以降に中国国内で生産した自動車を合計で5万7000台輸出した。

北京汽車が上海モーターショーで展示したクロスカントリー車
北京汽車が上海モーターショーで展示したクロスカントリー車
[画像のクリックで拡大表示]

 BYD Auto社は2017年5月8日にエクアドルの工業・生産性省と覚書を交わし、同国のZona Especialde経済開発区に6000万米ドルを投じて電気バスの製造工場を建設することに合意した。この工場は、米国、ブラジル、ハンガリー、フランスに続く同社の5番目の海外バス工場となる。年間300台の電気バスを生産する予定で、当初から300人を雇用する。覚書を交わす直前の4月23日には、BYD Auto社がエクアドルのLoja市のタクシー会社に30台の電気自動車(EV)「e5」を交付した。同社のEVは、既に世界50カ国・地域の200都市で販売されたという。

BYD社はエクアドルの工業生産部と覚書をサインした
BYD社はエクアドルの工業生産部と覚書をサインした
[画像のクリックで拡大表示]
BYD社が上海モーターショーで展示した電気自動車
BYD社が上海モーターショーで展示した電気自動車
[画像のクリックで拡大表示]