中国は、2025年までの自動車産業の育成計画として「自動車産業の中長期発展計画」(以下計画と略す)を公表した。2017年4月25日に中国工業と情報化部、国家発展と改革委員会、科学技術部が連名で発表したものである。

 計画では、中国自動車市場の規模を「2020年に3000万台、2025年に3500万台に上る」と予測したうえ、現在の中国を「自動車大国」と位置づけている。一方、コア技術やブランド力などの面ではまだまだ弱いと認識し、これから10年間を掛けてコア技術、部品供給、ブランド力、新業態の創出、自動車の輸出、環境保護など面で中国を「自動車強国」に躍進させる目標を設定した。

 具体的には、コア技術としてパワートレイン、トランスミッションシステム、カーエレー、電池、モーターなどの分野で2020年に世界の先端レベルに達するよう、世界トップ10の新エネルギー車メーカーを数社育成すると表明した。

 部品供給の面では、車載センサーやECU、軽量化材料、ハイレベルの製造設備など現在ではまだ弱い分野で「突破的な」進歩を遂げて、国際的にも競争力のある部品メーカーを育成する。2020年には売上が1000億元(約1兆6000億円)規模の自動車部品メーカーを育成して、2025年にはさらに世界トップ10に入れるようにする。

コア技術が「重大的」進歩を遂げる
コア技術が「重大的」進歩を遂げる
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部品供給は全産業にわたって自立できるようにする
部品供給は全産業にわたって自立できるようにする
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 ブランド力の面では、新エネルギー車分野でリーダー企業を育成し、2020年に世界に通じるブランドを複数作り出す。2025年には販売台数で数社を世界トップ10入りさせる。

 新業態創出では、研究開発から製造、物流、販売、アフターサービスまでスマート化させて、人、車、環境施設とのネットワーク化やデータ共有を実現する。2020年にアフターサービスが自動車産業の中に占める価値を45%以上に、2025年には55%以上に引き上げる。

中国ブランドの自動車を世界に送り出す
中国ブランドの自動車を世界に送り出す
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アフタサービスの価値を全産業の45%以上にする
アフタサービスの価値を全産業の45%以上にする
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 自動車の輸出では、2020年に中国ブランド車を自動車先進国へ輸出させる。2025年に中国ブランド車の世界における知名度をさらに向上させることを狙う。

 環境保護の面では、2020年に一般車の新車の燃費を百キロメートル当たり5.0L、省エネー車では4.5L以下に向上させる。2025年には新車の燃費を百キロメートル当たり4.0Lに高める。さらに、自動車の回収率を95%に達するようにする。

自動車先進国に中国ブランド車を輸出する
自動車先進国に中国ブランド車を輸出する
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百キロメートル当たりのガソリン消耗量を5.0L~4.0Lまでに低減する
百キロメートル当たりのガソリン消耗量を5.0L~4.0Lまでに低減する
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 上記各分野での目標を実現するために、必要となる技術のロードマップや重要技術のスペックも計画に明記した。例えば、動力用電池については下記のように要求した。2020年に電池単体のエネルギー密度を300Wh/kg以上、電池システムのエネルギー密度を260Wh/kgに向上させる。コストを1元/Wh以下に抑える。さらに、2025年に電池単体のエネルギー密度を350Wh/kgにする。

■参考資料:「自動車産業の中長期発展計画」(中国語)