すっかりキャッシュレス社会になっている中国

 もう一つ驚いたのは、中国がは日本以上にキャッシュレス社会になっていたことです。上海や北京のような大都会はもちろん、日本人があまり名前を聞き慣れない地方都市でもモバイル決済は普及して普通に使えると取材中にいろんな人から聞きました。モバイル決済が利用できる分野も幅広い。百貨店やスーパーはもちろん、光熱費や水道代、地下鉄やバスの切符といった社会インフラの料金、スマホの利用料、雑貨店やレストラン、はては屋台のような日常の支払いにまで浸透しています。

野菜売り場ではモバイル決済のQRコードを高く吊り上げている
野菜売り場ではモバイル決済のQRコードを高く吊り上げている
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肉まんの小さいお店でも
肉まんの小さいお店でも
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 モバイル決済サービスを提供しているのは十数社がありますが、アリババ社の「Alipay(支付宝)」とテンセント社の「WeChat Pay(微信支付)」の二社がほぼデファクトです。両社の利用者はそれぞれ6億人と4億人。アリババ社は「5年で中国全土をキャッシュレス社会を実現する」と宣言し、カウントダウンを始めました。利用促進のためにアリババ社は、現金支払いより決済1回あたり5元割り引きするとか、総額の2%を還元するとか、いろんな割引サービスを提供しています。

雑貨屋でも
雑貨屋でも
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モバイル決済の様子
モバイル決済の様子
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 取材中に筆者もキャッシュレスがどこまで徹底できるかと実践してみました。結果、上海での取材期間中に、食事や地下鉄、タクシー、コンビニエンスストア、空港など至るところで、AlipayかWeChat Payで支払えました。実は上海までの航空券も中国の旅行サイトでAlipayを使い決済していたので、今回の上海行きではキャッシュを一銭も使わずに済んでいます。