中国が水素エネルギーや燃料電池の研究開発を戦略的に推進していくことが明らかになった。2017年4月7日に中国の国家発展と改革委員会と国家エネルギー局が連名で「エネルギー技術革命のイノベーション行動計画(2016-2030年)」および付録「エネルギー技術革命の重要イノベーション行動路線図」を公表。この「行動計画」のなかで、石炭の無害化採掘技術やクリーン化、先端的な原子力技術、太陽エネルギーの高効率利用技術、水素エネルギーや燃料電池技術など、重点的に推進する15の目標を定めている。中国が国家エネルギー政策として水素エネルギーについて言及するのは初めて。水素エネルギーや燃料電池について下記の通り、重点分野や数値目標、推進方法を明記している。

中国政府が公開したサイト
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一 重点分野

 (1)水素の大量製造や貯蔵材料、運輸、および水素ステーションに関連するコア技術を開発する。具体的には、再生可能エネルギーおよび原子力を利用した水素製造技術や石炭気化による水素製造技術、メタンの改質や酸化による水素製造技術などを開発する。また、水素ステーションでの貯蔵と充填技術の標準化と応用も研究する。

 (2)プロトン交換膜型燃料電池 (PEMFC:Proton Exchange Membrane Fuel Cell) 技術、 メタン燃料電池(MFC:Methane Fuel Cell)、固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)、金属空気電池(MeAFC:Metal Air Fuel Cell)などの技術を開発する。PEMFCやMFCを搭載した電気自動車の模範運行、PEMFCとSOFCとの一体化設計を推進する。

中国が公開した15の重点分野
中国が公開した15の重点分野
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二 数値目標

 (1)2020年には、PEMFC電源システムの定額出力が50~100kW、システムの出力重量比が300Wh/kg以上、出力容量比が3000W/L以上、使用寿命が5000時間以上に達する。MFC電源システムの定額出力が5~10kW、システムの出力重量比が345Wh/kg以上、使用寿命が3000時間以上に達する。水素貯蔵容量が5wt%より高い水素貯蔵技術および長距離、大量運搬を実現する。

 (2)2030年には、PEMFCの離散型電源システムの使用寿命を1万時間以上、MFCの離散型電源システムの使用寿命を4万時間以上、MeAFCの離散型電源システムの使用寿命を1万時間以上に実現する。

(3)2050年には、水素エネルギーと燃料電池の普及と応用を果す。

三 推進方法

 水素の大量製造や水素の運搬、PEMFCやMFCなど各種燃料電池、燃料電池による離散型発電など、それぞれテーマ別に推進の仕方などを記述している。詳細は、下記のリンクを参照。

■参考資料:「エネルギー技術革命のイノベーション行動計画(2016-2030年)」(中国語)