中国は新エネルギー車への補助金制度を見直した。中国財政部、工業と情報化部、科技部、発展と改革委員会が2017年3月20日に連名で「緊急通達」を発表。新エネルギー車の生産企業が補助金を得るには、販売した新エネルギー車が3万キロを実走行した証明の提出提出を義務付けた。2016年後半に発覚した新エネルギー車の補助金不正獲得を防止する対策の一環と見られる(参考記事:中国、新エネルギー車の不正企業を公表、日産の合弁会社を摘発)。

中国メディアに報道された「緊急通達」(赤い枠内の中国語は速達の意味)
中国メディアに報道された「緊急通達」(赤い枠内の中国語は速達の意味)
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 新制度は、新エネルギー車の製造企業に、「作る」「売る」だけでなく実際の利用まで責任を持つように要求している。

 2016年度の新エネルギー車補助金を申請する製造企業は、2016年1月1日~12月31日の期間中の販売レシート、自動車の仕様書、車両登記情報などの情報を提出しなければならない。さらに「個人使用ではない新エネルギー車(一部の産業用車を除く)では走行距離3万キロの達成が必要」と規定した。「基準を満たさない新エネルギー車は、達成した年度の補助基準に従って補助金を供与する」とも明文化した。

中国媒体に報道された「緊急通達」。署名には中国の四つの行政部門が捺印している。
中国媒体に報道された「緊急通達」。署名には中国の四つの行政部門が捺印している。
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 中国の新エネルギー車補助金は、クルマのユーザーではなく生産企業に与える仕組み。このため、名目上だけ販売し倉庫に放置するとか、部品を買い集めて組み立てただけで実際に走行できないといった補助金目当ての不正行為が横行。中国のほぼ全ての新エネルギー車メーカーが何らか不正行為を行ったことが2016年後半に発覚した。中国の新エネルギー車への補助金額は年々と減額されており、規定の達成が遅れるほど、得られる補助金額が少なくなる可能性もある。不正により、不当な利益を得るどころか、大きな損失をするメーカーも出てきそうだ。

「緊急通達」の内容
「緊急通達」の内容
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