中国の外貨準備高は、2017年2月に3兆51億米ドルとわずかながら3兆米ドルを超えるレベルに回復した(参考記事:中国国家外貨管理局の発表(中国語))。中国の外貨準備高は2014年6月に3兆9932億米ドルのピーク値を記録して以来、中国政府による元安ペースの緩和を狙った為替介入と、景気下落の観測による中国元安・米ドル高を見込んだ企業と個人の資本流出の結果、約2年半の間で約1兆米ドル減少し、2017年1月についに3兆ドルを下回っていた。

中国国家外貨管理局が公開した統計データ
中国国家外貨管理局が公開した統計データ
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 2月に3兆米ドル台に戻ったからといって、中国の外貨準備高がこれから上昇基調になるという判断はまだ時期尚早のようだ。米国の利上げ期待を背景に対ドルで元安傾向が続いており、資本流出の圧力は依然存在している。また、2016年に中国の外貨準備高は3198.44億米ドル減少しており、中国製品の輸出が増加し、外貨を稼げなければ、無くなった分は簡単に穴埋めできない。しかし、中国の最大の輸出相手国であるアメリカのトランプ政権は、中国製品に対して高税率をかけると示唆しており、中国製造業に逆風を吹いている。仮に中国から米国への輸出増を期待できないとすると、中国の外貨準備高は当分の間では減少傾向に進むと考えられる。

中国国家外貨管理局が公開した統計データを用いて本誌が作成した中国外貨準備高の推移図
中国国家外貨管理局が公開した統計データを用いて本誌が作成した中国外貨準備高の推移図
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 ちなみに、IMF(国際通貨基金)の基準に基づいて、中国が維持すべき外貨準備高の水準は、資本取引規制ありの場合は1.7兆米ドル、資本取引規制なしの場合は2.8兆米ドルと適正と言われている。

■参考資料:みずほ総合研究所 中国の外貨準備減少をどうみるか