これは、2016年から中国政府が「十三五」(第13次5カ年計画)の間に重点的に取り組むとしている、供給側(サプライサイド)の構造改革を進めるために、石炭や鋼鉄の過剰生産を抑えようとしたことが原因の一つと考えられる。表中の赤枠にあるように、資源の採掘と加工品の出荷価格が対前年同期比でそれぞれ36.1%と15.5%の上昇となった。具体的に見ると、石炭の採掘は39.6%増、石油と天然ガスの採掘は85.3%増、黒色金属の採掘は27.6%増、非鉄金属の採掘は16.7%増、これらの加工品も軒並みに2桁の上昇となった。結果として、企業の生産材料の購入価格も2桁以上の上昇となっている(青枠)。

表 2017年2月中国の生産者物価指数詳細
表 2017年2月中国の生産者物価指数詳細
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 つまり、今回のPPIの高い伸びの一つの原因は、供給側の資源価格の上昇によるもので、需要が旺盛で製品が売れたという単純的なことではないと考えられる。さらに公表された2月の消費者物価指数(Consumer Price Index, CPI)を見ると、対前年同期比でわずか0.8%増だったため、生活用品には資源価格の上昇をすぐに転化できないため、中国製造業の景気はまだまだ注意深く観察すべきだと思われる。

■参考資料:2017年2月の中国工業生産者出荷価格指数(中国語)