中国の「工業と情報化部」、「国家発展と改革委員会」、「科学技術部」、「財政部」の四部署は2017年3月1日に連名で「自動車用動力バッテリー産業の発展を促進する行動方案」(以下方案と略称する)を公開した。この方案は、(1)全体方針、(2)発展方向と主要目標、(3)重点事業、(4)支援政策の4つで構成する。

 現在、中国政府が新エネルギー車の国策として電気自動車(EV)を推進しており、自動車用電池に関するニーズが高くなっているが、しかし中国では電池の品質、性能、コストの面ではまだ改善の余地があるとする。特に、駆動用電池の基礎材料、システムアグリゲーション、製造設備と生産プロセスにおいて、世界最先端レベルと比べて大きな遅れを取っているので、この状態を改善するために、該当方案を作ったという。

 方案の全体方針としては、政府が支援策に注力することと、企業は先陣を切って大学や研究機関との共同開発を進めることにより重要な技術を把握して、国際競争力を高めることを強調している。

 方案の大きな特徴は、数値目標を明確に定めていたことだ。例えば、電池の性能について、新型リチウムイオン電池では、2020年に単体の質量エネルギー密度を300Wh/kg以上として、パッケージごとの質量エネルギー密度を260Wh/kgとすることを目標としている。また、コストを1元/Wh(約16円/Wh)以下にする。使用可能の環境温度も-30~55℃にする。2025年にはさらに技術を飛躍的な発展を遂げて、電池単体の質量エネルギー密度を500Wh/kgにするという。また、産業全体としては、2020年に生産能力を年間1000億Wh以上に、売上高を年間400億Wh以上に達するするとも定めている。

 開発資金は、国家科学技術計画の専用資金やファンドから拠出するという。

 詳しくは「自動車動力バッテリー産業の発展を促進する行動方案」(中国語)を参照。

■参考記事:中国、電池産業の5カ年計画「十三五計画」で数値目標を公開