中国は、「中国製造2025(メイド・イン・チャイナ2025)」の進め方を具現化した「1+X」という計11個の実施ガイドを作成し、2017年2月10日に公開した。その目的は、行政指導の強化と産業界の意思統一、社会リソースの集中配分、重点分野の推進など、中国の製造業におけるボトルネックを解決するためだ。また、この11個の実施ガイドは、強制的に推進するものではなく、中央政府の姿勢や推進方向を明示して、各地方政府や企業、研究所、大学と連携して推進していくという。「中国製造2025」は2015年5月に公布されたもので、製造業全般の広範囲にわたってどのように推進されるかは関心の的となっていた。

中国政府が公開した「1+X」の説明
中国政府が公開した「1+X」の説明
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 「1」とは、2015年5月に公開した「中国製造2025」という戦略構想。「X」とは、(1)「製造業イノベーション・センターの構築」、「工業基礎の強化」、「スマート製造」、「グリーン製造」、「ハイテック設備のイノベーション」という五つのプロジェクト実施ガイドと、(2)「サービス型の製造」、「設備製造業のブランド樹立」という二つの専門指針と、(3)「新材料産業」、「情報産業」、「医薬産業」、「製造業人材づくり」という四つの発展計画、計11個の実施ガイドとなる。

 上記の五つのプロジェクトとは、「中国製造2025」の分野目標と仕事、実現手段をより明確にしたもの。その中の「製造業イノベーション・センターの構築」と「工業基礎の強化」は、基礎的な問題を解決するためのプロジェクトとなる。前者は、重点分野の先端技術とキーとなる技術を方向性に定めて、技術開発から応用への転化する役割を担う。後者は、コアとなる基礎部品や肝心な基礎材料、先進的な基礎プロセスの工業化と産業化をするためのものとなる。「スマート製造」は、製造業のデジタル化の普及とモデル作り、製造業全体をスマート化へ転化させて、創造業を中レベルもしくは高レベルに発展させることを狙う。「グリーン製造」は、製造業の各分野をグリーン化してグリーン製造の体系を作り出す。「ハイテック設備のイノベーション」は、重要設備の産業化を突破口として各業種に先進的な製造装置を提供する。

 二つの専門指針のうち、「サービス型の製造」は製造業のサービスモデルの刷新や技術革新、管理理念の革新を通じて、新しい形態の製造業を作り出すことを目指す。一方、「設備製造業のブランド樹立」は、品質安全を基礎に、高品質を核に、国際ブランドを確立できるような競争力を作り上がることを目的とする。

 四つの発展計画は、具体的に以下のように構成されている。(1)「新材料産業発展計画」は、企業を主体とした、大学や研究所がサポートする産学研の協業を通して、新しい種類の新材料やキーとなる製造プロセス、製造設備を自主的に作れるようにする。(2)「情報産業発展計画」は、世界的に競争優位性のある情報産業を構築することをメインとした技術イノベーション能力、産業基礎能力、安全保障能力を強化するものとなる。(3)「医薬産業発展計画」は、医薬品産業を高速に発展させるために、改革開放と協業を推進する内容となっている。(4)「製造業人材づくり発展計画」は、「中国製造2025」を実現するための人材交流、評価、奨励といった人材育成システムの構築と指している。

■関連リンク:「中国製造2025」の「1+X」の中身