一方、中国勢の存在感は増している。サムソンとアップルが市場シェアを下げたのに対して、三位のファーウェイは1.3ポイント、四位のOPPOと五位のvivoは、それぞれ3.4ポイントと2.4ポイント、シェアを向上させた。

 IHS Technologyの王陽マネジャーが中国語SNS「微博」で公開した2016年中国携帯メーカーの出荷台数によると、ファーウェイが1億3900万台を出荷し、二年連続の1億台超だった。2015年の1億800万台に対して28.7%も増加した。また、OPPOが9500万台を出荷し、そのうち、R9機種が驚異的な2000万台を記録した。上位十位の中国メーカーの出荷台数の合計は5億8400万台になる。これは、集邦諮詢が調べた、サムソンとアップルの世界市場の合計出荷台数である5億1900万台を上回る。

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 中国メーカーが出荷台数を増やせたのは、安価なローエンド機種を大量生産しただけではない。機能や品質、機能などが、上位メーカーと遜色のないレベルに迫ってきたことが大きい。

 ファーウェイは、年間で606億元(約9700億円)の研究開発費を投入しており、ハイエンド機種には子会社が独自に開発した「麒麟系」MPUを使った。ローエンド機種には米Qualcomm社や台湾MediaTek社のプロセッサーを使っており、自社開発のMPUに自信を持っているようだ。また、ある中国メディアの報道によれば、ファーウェイの2016年の利益は200億元(約3200億円)超となった。

 出荷台数で上位十位に入っていなかったものの、携帯電話の「アフリカ王者」と言われている中国メーカーもある。「伝音」(Shenzhen Transsion Holdings)という中国メーカーは、2016年にアフリカ市場で8000万台(うち2000万台はスマホ)の携帯電話機を出荷し、市場シェアは40%を握った。同社は通信費圧縮目的で4枚のSIMカード搭載できる機種や、目と歯を検出して光を補正して光の弱い場所でも黒人の顔を鮮明に写真を撮れる機種など、現地ニーズにあった端末を開発した。