2016年の中国自動車産業は、生産と販売がともに史上最高の数値を記録した。中国自動車産業協会である「中国汽車工業協会」が2017年1月12日に発表した「2016年中国自動車産業状況」によれば、中国の2016年の自動車生産台数は2811.9万台、販売台数は2802.8万台。それぞれ対前年同期比で14.5%増と13.7%増となり、いずれも2桁の成長率を記録した。ちなみに、2015年の成長率はそれぞれ3%と4.7%だった。

乗用車が高成長

 中国の2016年の乗用車生産と販売は、2442.1万台と2437.7万台で、ともに史上最高となった。対前年同期比で15.5%増と14.9%増で、市場全体の成長率を上回った(表1)。

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 SUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)が、過去最高の販売だった。2016年には915.3万台が生産され、904.7万台が販売された。それぞれ45.7%と44.6%の高い成長率をマークした。また、MPV(多目的車)も好調で、生産が249.1万台で17.1%増、販売が249.7万台で18.4%増と、ともに2桁の成長を遂げた。これらのことから、中国消費者はSUVやMPVのような大型車を好むと言えるだろう。

 セダンの生産と販売は1211.13万台と1214.99万台、成長率は3.9%と3.4%だった。母数が大きいので、成長率は2桁ではなかったものの、市場は成長している。しかし、クロスオーバー車は生産が66.59万台、成長率が-38.32%、販売が68.35万台、同-37.81%と大幅にダウンした。

 排気量で見ると、1.6L以下の小型車の販売が好調だ。2016年に小型車の販売台数は1760.7万台となり、対前年同期比で21.4%増となった。乗用車販売量の72.2%を占めるまでになった。これは、2015年10月に始まった、排気量1.6L以下の車に対して自動車税を半減する優遇政策の効果だと思われる。

新エネルギー車の成長率は50%以上

 新エネルギー車も生産が51.7万台、販売が50.7万台、対前年同期比で51.7%と53%と高成長した(表2)。これは、中国の中央政府と地方政府が打ち出した税金優遇、現金奨励、ナンバープレートの無条件提供など数々の優遇政策の結果だと言える。

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 新エネルギー車のうち、EV(電気自動車)の生産と販売がそれぞれ41.7万台と40.9万台、対前年同期比は63.9%増と65.1%増となり、PHEV(プラグインハイブリッド車)が生産9.9万台、販売9.8万台、それぞれ対前年同期比で15.7%と17.1%といずれも高成長だった。

 「中国工業と情報化部」の苗圩部長は、2017年1月15日に中国北京で開催した自動車フォーラムの講演の中で、「『自動車産業中長期発展計画』を策定しており、その中で2020年に新エネルギー車の生産台数は200万台、2025年には販売量全体の20%以上を占めることを計画している」と明らかにした。2017年は、中国政府が新エネルギー車への優遇政策を引き続き実施するものの、小型車への優遇幅は縮小することも発表している。このような施策によって、2017年以降の中国自動車産業はどのように変化していくのか、今後も注目していきたい。