初代の登場から5年、初めて全面改良したマツダのSUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)「CX-5」。開発責任者を務めた児玉眞也氏(同社商品本部主査)は「現行車から性能を最もジャンプアップさせたのは静粛性」と断言する。

 マツダはこれまで運転者に走る楽しさを訴求できるクルマづくりを追及してきた。それが今回、「運転者だけでなく、同乗者を含めたすべての顧客に走る喜びを提供したい」(同氏)と、車両開発の方向性を改めた(図1)。車内でストレスなく会話や音楽などを楽しめるように、静粛性の向上に注力したという。

図1 新型「CX-5」の開発責任者を務めたマツダ商品本部主査の児玉眞也氏
図1 新型「CX-5」の開発責任者を務めたマツダ商品本部主査の児玉眞也氏
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 具体的には(1)音の発生源そのものを抑制する、(2)音が車内に入ってくることを遮断する、(3)車内に入った音を的確に吸音する――という対策を施した。

 第1の音源の抑制は、空気抵抗の抑制に取り組んだ。例えば、ワイパーをフロントフードの上端面よりも下に収めるようにした(図2)。フロントピラーの形状も見直し、空気の流れを乱さない空力形状に改めた。この他、ドアとドアの隙間を狭めたり、凹まない形状のゴムシールを採用したりした。Cd値は、現行車から6%低減している。

図2(a) 正面からはワイパーは見えない
図2(a) 正面からはワイパーは見えない
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図2(b) フロントフードの上端面よりも下にワイパーを収めた
図2(b) フロントフードの上端面よりも下にワイパーを収めた
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