図1◎新型プリウスのハイブリッドシステム。左側がガソリンエンジン
図1◎新型プリウスのハイブリッドシステム。左側がガソリンエンジン
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図2◎ガソリンエンジン「2ZR-FXE」。燃焼の改良や機械損失の低減などで熱効率を高めた
図2◎ガソリンエンジン「2ZR-FXE」。燃焼の改良や機械損失の低減などで熱効率を高めた
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 トヨタ自動車は、2015年10月13日に日本で発表した4代目となる新型「プリウス」のガソリンエンジンについて、低燃費技術の詳細を明らかにした(図1)。目標燃費はJC08モードで40km/L(ただし、一部のグレード)と、従来の32.6km/Lに対して1L当たり7.4km伸ばす。そのために、ガソリンエンジンの熱効率を高める新技術を多数盛り込んだ。

 新型プリウスに搭載したエンジンは、排気量1.8Lの直列4気筒ガソリンエンジン「2ZR-FXE」(図2)。型式が同じ従来のガソリンエンジンを高効率化したものだ。最大熱効率は40%と、従来の38.5%から1.5ポイント高めた。ディーゼルエンジン並みの高効率で、量産タイプの自動車用ガソリンエンジンとして世界最高とみられる。圧縮比は13で、ボアは80.5mm、ストロークが88.3mm。燃焼サイクルは従来と同じく、圧縮行程よりも膨張行程が長く効率の良いアトキンソンサイクルである。

 熱効率を高めるために、まず燃焼を改良した。新型プリウスはハイブリッド車(HEV)であるため、効率の良い高トルク領域でエンジンを回す。ところが、これは高負荷領域なので、燃焼温度が高くなって燃料が自己着火するノッキング(異常燃焼)が生じやすい。そこで、燃焼温度を下げるために、冷却排出ガス再循環(EGR)システムを使って排出ガスの一部(以下、EGRガス)を、温度を下げた後に燃焼室に投入する。このEGRガスの投入量を従来の2.5倍に増やし、ノッキングの発生を抑えた。