ホンダが2017年9月1日に発売した新型軽自動車「N-BOX」は、新たに開発したプラットフォームを適用し、ボディー骨格を軽くしながら全方位(前方・後方・側面)の衝突に対応した(図1)。

図1 新型N-BOX
図1 新型N-BOX
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 新型N-BOXはボディー骨格に780MPa級以上の高張力鋼板を多用して、先代車に比べてボディー骨格の質量を約15%軽くした(関連記事:N-BOX、1.2GPa高張力鋼板などでボディー骨格を15%軽く)。その上で骨格の構造を見直し、全方位の衝突に対応させたのが特徴である。

 先代車のプラットフォームは、フロントフレームに入力した衝突エネルギーを、主にフロアフレームとサイドシルに分散させて吸収していた。新プラットフォームでは、フロア前部にトラス構造のフロントフレームを新たに設けた。これにより、衝突のエネルギーをフロア・クロス・メンバーとサイドシルに流すことで、「先代車よりも衝突エネルギーを効率的に吸収できるようにした」(同社)という(図2)。

図2 新型車と先代車の骨格構造の違い
図2 新型車と先代車の骨格構造の違い
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 トラス構造のフロントフレームを設けた代わりに、車両中央から後部のフロアフレームを無くした。さらに、前部のフロア・クロス・メンバーを1.2GPa級の高張力鋼板製にして強度を高めた。780MPa級以上の高張力鋼板の多用に加えて、こうした骨格構造の見直しも、プラットフォームの軽量化と衝突安全性の両立に寄与したという。