エンジン外観
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気筒あたり2本のインジェクター
気筒あたり2本のインジェクター
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EGRクーラー
EGRクーラー
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 ダイハツ工業とトヨタ自動車が、2016年4月に全面改良した小型車「ブーン/パッソ」。搭載する排気量1.0Lの自然吸気ガソリンエンジン「1KR-FE」は、直噴技術や電動化技術を使わずに安価にしながら圧縮比を12.5に高めた。従来は11.5。最高熱効率は38%に達し、ガソリン車としてトップクラスの高い燃費性能である28km/L(JC08モード)を実現した。併せて、低速トルクも大きく高めた。

 圧縮比を高めて熱効率を上げるため、気筒あたり2本のインジェクターを吸気ポートにそれぞれ搭載した。「疑似直噴」と言える効果を安く得る狙いがある。直噴の最大の利点は、噴いた後にガソリン燃料が気化するときの吸熱反応で筒内温度を下げられること。圧縮比を高くしても異常燃焼(ノッキング)しにくくなる。直噴に近い冷却効果を、2本のポート噴射インジェクターで実現する。

 2本にして冷却効果を高められるのは、気筒内に向かって燃料を真っ直ぐに噴ける上に吸気弁の近くに配置して、筒内に燃料を届きやすくできるからだ。インジェクター1本の場合、二つの吸気口に噴き分ける。噴霧を広げる方向に噴く力を使い、筒内に真っ直ぐに向かって噴く力は弱くなりがちだ。また、二股に分かれる手前にインジェクターを置くため、気筒までの距離が遠くなる。インジェクターを2本使えば、二股に分かれた後の吸気弁の近くに置ける。